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新築一戸建てに欠かせない「地盤調査」、そのやり方や費用、ベストなタイミングは?

マイホームを建てるとき、必ず通るのが「地盤調査」という工程。新築の場合、家を建てる際の確認申請に調査結果が必要なため、必ず行う調査です。

ところが、土地購入から検討している人にとっては、購入前には調査をすることができないという点が、一番のブラックボックスになるでしょう。

もちろん、建て替えや中古物件を購入する場合も「地盤調査」の結果は、重要なチェックポイントの一つ。

今回は、地盤調査のポイントや、地盤に問題があった場合の改良方法などを解説します。




安全に暮らすために、地盤の強度は必須条件

「地盤」とは、建物を建てる土地のこと。「地盤調査」とは、建物を建てる前の地盤の強度を調べる調査のことです。主に砂や柔らかい粘土などを多く含む「軟弱地盤」を改良しないまま、家を建ててしまうと、地震の時に液状化したり、家が土台ごと傾いたりする危険性があります。

一見何の問題もなさそうな地盤でも、その強度は調査をしてみないとプロでもわかりません。仮に土地を購入する前に、近隣のお宅に「この辺の地盤は硬いから大丈夫!」「うちは改良工事に費用は全然かかりませんでしたよ」などと聞いていたとしても、実際は地盤改良が必要だったケースは少なくないのです。

地盤調査は土地を購入した後でないと行うことができないので、事前に近隣のお宅から聞き取りをするのは、土地購入の判断材料として有効な手段ですが、その情報を過信せず、どちらに転んでも良いように考えておきましょう。

調査の結果、地盤が固いことが分かれば、改良の必要がないので、その分の費用を抑えることが可能。一方で、地盤の強度が足りないという結果が出た場合は、費用はかかりますが、「地盤改良」をすることで、マイホームを安全に建てられる強度を整えます。



地盤調査の種類と費用、調査のタイミングは?

地盤調査というと、「ボーリング調査」という名前を聞いたことはないでしょうか。これはマンションなどのビルを建てる際に良く採用されている方法で、支持層という固い地盤まで、場所によっては何十メートルも掘って調査を行います。こちらの費用目安は25〜30万円。規模の大きい住宅や、地下室をつくる場合にも採用されることがあります。


一般的に、木造一戸建てを建てる場合に採用されているのは「スウェーデン式サウンディング試験」と呼ばれる方法。こちらの費用は5万円程度で行うことができます。この方法は、先端がスクリュー状になったロッドに重りを付けて回転させ、使用した重りの重量やロッドの回転数によって地盤の強度を算出するというもの。

建物の四隅と、中心の5カ所を調査するのが通例で、所要時間は半日程度。正確な結果を出すには数日が必要ですが、地盤改良の必要があるか否かといった簡易的な結果は、その場でも判断することが可能です。


仮に地盤改良をする場合、20坪前後の土地で、一般的に50〜100万円程度の費用が発生します。多い場合、200万円を超えるような場合もあるため、建物の見積もりを固める段階には、地盤調査の結果が出ていると安心。

ただし、建物の形や、建てる位置が変わると調査をやり直す必要が出てしまうので、建物のプランが確定した後にすると良いでしょう。

また、調査は「土地を掘る」ことになるので、気になる人は、地鎮祭を行った後にすると、気持ちよく進めることができますね。



「建て替え」や「中古戸建て」の場合の地盤調査は?

新築で一戸建てを建てるなら、土地も合わせて購入する場合でも、親族から引き継いだ土地で建て替えをする場合でも、地盤調査は必ず行います。理由は、ホームメーカーなどの事業者が加入することを義務付けられている、瑕疵担保保険を申し込む際に、地盤調査の結果が必要なため。


一方で、中古の戸建てを購入してリフォームを考えている場合は注意が必要。売主が売却時に費用をかけて地盤調査をするということは、ほとんどありません。


購入する物件に、地盤調査の結果をまとめた「地盤調査報告書」が付いていれば、買い手も確認することができますが、瑕疵担保保険を加入義務とした住宅瑕疵担保履行法が施行された2009年以前の建物であった場合、地盤調査をしていないケースも多々あります。


「地盤調査報告書」が付いていなければ、まずは売主に地盤調査報告書が残っていないか、確認してみましょう。また、近隣への聞き込みや、売主が許可をしてくれた場合は、購入前にどこか1カ所でも、費用を負担して、敷地内の地盤調査をするのも有効です。


本来は建物を建てる前に調査するものなので、正確なデータにはなりませんが、2〜3mの違いでは、地質にさほど差はないので、重要な判断材料の一つにすることができます。



「地盤改良」の具体的な方法は?

地盤調査をして「改良が必要である」という結果が出てしまったら、その結果に応じて地盤改良を行ってください。もちろん費用がかかるため、できればやりたくない、と考える方もいるかもしれません。

ですが、地盤の強度は、建物の基礎や構造を考える上で必要不可欠な要素。いくら堅牢な住宅を建てたとしても、地盤が軟弱ではその強度を発揮することはできません。地盤改良が必要となった場合、その費用は避けて通れない出費だと考えておくことが大切です。

ちなみに地盤改良で行うのは、「表層改良工法」「柱状改良工法」「鋼管杭工法」の3種類。大体の費用目安とその手法をチェックしておきましょう。



目安は50万円程度「表層改良工法」

地盤の表層から2mくらい掘り、セメントなどの固化剤を流し入れて地盤を固めるのが「表層改良工法」。地盤の弱い層が2m以下で、地盤を支える強固な支持層が比較的浅い場所にあるケースに行われます。

建築面積が約20坪ほどの土地なら、かかる費用の目安は50万円ほど。比較的安価な手法です。



目安は100万円程度「柱状改良工法」

「表層改良工法」が行われる地盤に比べ、軟弱な層が2〜8mあたりの深い場所にあるケースに行われるのが「柱状改良工法」。何本ものコンクリートの柱を地面に打ち込んで、地盤を強化します。実際には直径60cm程度の穴を開け、セメントと水を注入。攪拌させて土と混ぜ、地中に柱を作ります。

建築面積が約20坪ほどの土地なら、費用は100万円ほどが目安です。



目安は100万円程度「鋼管杭工法」

地中30mくらいまで、軟弱な層が続く場合に行うのが「鋼管杭工法」。セメントの柱を使う「柱状改良工法」と違い、鋼管で地盤を補強します。狭小地でも工事が可能なほか、かかる時間も「柱状改良工法」より短いため、時間短縮の目的で採用される場合もあります。

費用の目安は「柱状改良工法」と同程度です。


「地盤改良」の方法は自由に決められるもの?

地盤改良の方法は、上記の通り、地盤の状態によって適した手法が異なるため、改良の工法は指定できません。地盤調査の結果を元に、プロがその土地に適した工法を選び、時には組み合わせて提案してくれるので、その話を良く聞いてみてください。

ちなみに、信頼できる地盤改良業者を指定することは可能。地盤改良には建物の情報が必要なので、依頼するハウスメーカーや工務店に事前に伝えておくとスムーズですよ。



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